白井京月の読書ノート

2009年から2014年の読書メモ

タロットを学ぶ

タロット大全―歴史から図像まで

タロット大全―歴史から図像まで

「タロット大全」。これは第一級の研究書です。タロットの歴史を体系的に理解できる。タロットは本来、占いの道具ではないのです。言ってみれば、いろいろな宗教や哲学を総合した、人間観、宇宙観の集大成なのですね。だから人によって解釈が異なり、何百という種類のタロット・カードがある。
ただ、研究書としては第一級ですが、占い愛好家が読むと興ざめするかもしれません。もっとも、タロット占い師は読んでいないとマズイ本だと思います。基本文献です。
タロット象徴事典

タロット象徴事典

「タロット象徴辞典」。井上教子先生の本です。この先生はアメリカの大学で心理学を勉強した後にタロットを始められたということで、どの著書も極めてアカデミックです。タロットは元来象徴画(当時のヨーロッパの絵画はすべて象徴画ですが)ですので、それを読むには知識が絶対に必要なのです。この本では、各種タロットの違いを含めて、その辺りが詳しく解説されています。
トートの書

トートの書

「トートの書」。魔術師クローリーの著作です。実は私の先生が「貴方はトートの研究をしたらどうですか」と、何度となく勧めてくださるのです。しかしですね、いま勉強しているウェイト版のウェイト博士とクローリー犬猿の仲だった。両方使うって、節操という観点からどうよ、と思うところがあります。(笑)
で、この本は知的であると同時に詩的です。クローリーは詩人なのだな、と思いました。なお、魔術師クローリーは、20世紀のロック・ミュジシャン等にとても人気があったそうです。ビートルズのジャケットに写真があったり。
覚えるのは大変ですが、読んでいると面白いところが多数あります。異界(?)に触れるには良いかもしれません。
高等魔術の教理と祭儀 (教理篇)

高等魔術の教理と祭儀 (教理篇)

「高等魔術の教理と祭儀」有名なレヴィの本です。タロット研究の一環として読みましたが、正直ついて行けません。まあ、こういう人もいたのだな、というだけの話ですね。はい、危険思想だと思います。
でも、面白いところが一箇所ありました。「魔術師なのに、なぜ世界を支配できないのか?」という問いに、もう歳(50歳)だからと。

タロットを勉強して分かったことは、タロットに潮流はあるものの、その考え方はとても多様だということです。研究家はともかく、実践家は自ら選択し、考えて、独自のスタイル確立しないといけない。え、私がタロットを学んだ理由ですか? それは秘密ですよ。