白井京月の読書ノート

2009年から2014年の読書メモ

YouTubeビジネス革命

You Tube ビジネス革命 1分の動画が世界を驚かす (Mainichi Business Books)

You Tube ビジネス革命 1分の動画が世界を驚かす (Mainichi Business Books)

USTREAMはかなり一般的と思い込んでいたが、まだまだ認知度が低いようだ。Amazonの和書で検索しても該当する和書は見当たらなかった。USTREAMとは、2007年から開始された動画共有サービスのことだ。2010年にはソフトバンクの出資も受け入れており、アジア進出、日本語対応がなされてくるものと思われれる。パソコンとカメラがあれば、または、iPhoneがあれば、個人でも世界のインターネットユーザーに対してライブで放送が出来る。そして、言うまでもなくそういう使われ方がされている。これは、衛星放送に匹敵する<革命>と言えるだろう。これからメディアがどうなるのか、広告がどうなるのかについては思うところがあるのだが、あまり多くを書く気にはならない。これは競争だからだ。
USTREAMのかわりに、押切孝雄氏の「YouTubeビジネス革命」を取り上げてみる。

最強の宣伝ツール!
1分の動画が世界を驚かす
なぜあの会社は売り上げが5倍になったのか!?
(表紙と帯より)

以前から私は、企業がなぜYouTubeを用いたプロモーションをかけないのか疑問に思っていたが、広告先進企業の事例が取り上げられているので多くの企業等にとって参考になるはずだ。また「YouTube革命−テレビ業界を震撼させる「動画共有」ビジネスのゆくえ」神田敏晶著、ソフトバンク新書もあり、併せて読むと良いかもしれない。もっとも、本になったものを読んでいる段階で、既にレイト・マジョリティだと言えるのかもしれない。それほどに、ICTは急速に進化している。
ムーアによると、キャズムとは少数のビジョナリーとアーリー・マジョリティーの間の溝を意味する。従来、この溝は供給サイドが努力して越えるべきところだったのだが、今は逆に需要サイドが努力してビジョナリーに追いつくという段階にあるように見える。ビジネスだけではない。政治的、社会的な議論もまた、「ビジョナリーという内部」で進められようとしている感すらあるからだ。
これからのICTユーザは、テレビ時代の受動的人間ではなく、能動的人間だ。ICTリテラシーのディバイドを嘆いていても始まらない。常に走り続けるしかない。それが先頭集団であれ、後続であれだ。まるで終わりなきマラソンのように。