ゲームが世界を変えて行く
- 作者: ジェイン・マクゴニガル,妹尾 堅一郎,武山政直,藤本 徹,藤井 清美
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/10/07
- メディア: 単行本
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ゲームに固有の4つの特徴。それは、ゴール、ルール、フィードバックシステム、自発的な参加だとジェインは言う。他にもいろいろな特徴があるが、重要なのはこの4つなのだと。ゲームデザイナーがまず最初に設計する部分だとも言えるだろう。
最先端のゲームデザイナーは心理学者でもある。今や、お金や物、地位といった外発的な報酬、自分自身の外に幸福を求めることは、本当の幸福を求めるうえでの妨げになるというのが定説のようだ。1960年代のニューエイジブームから言われてきたことだが、2011年の今、アメレイカではアメリカン・ドリームという神話は確実に終焉を迎えている。逆に、中国やインド、ブラジルで外発的報酬の快楽への熱狂が見られるようだが、それも一時的な現象として収束するのだろう。幸福は獲得するものではなく、生み出すものなのだ。何かに打ち込み、没頭する喜びを得ること。これに尽きるようだ。
本書では成功している優れたゲームが多数紹介されている。こうしたゲームデザインのノウハウには企業も注目しており、組織や業務のデザインに取り入れようとする動きも活発だ。いや、ビジネスだけではない。環境問題、資源問題、貧困問題といった世界の重要課題についても、ゲームの持つ可能性が注目されているのである。本書を熟読することで、いろいろなヒントが得られることだろう。