白井京月の読書ノート

2009年から2014年の読書メモ

ソーシャルネィテイブの時代

「ビンボーハッピー」ですか。なるほど。上手いことを言うもんです。私は大企業のサラリーマンでしたが、ある時、いわゆるビンボーな人々の楽しそうな日常を知ってショックを受けました。今の時代、収入とハッピーの間に相関はないのです。特に、高収入ではあっても時間的な拘束の多い人は、閑暇の価値分を所得から減額して考えないといけません。閑暇時間の単価は示せませんが。(笑)
筆者の遠藤諭氏は、アスキー総合研究所の所長です。この本は、アスキー総研の一万人調査「MCS2010」「MCS2011」をきっかけに書かれたもので、今の若者(ソーシャルネィテイブ=1990年前後に生まれた、SNSで育った世代)の特殊性が、数字で示されて行きます。
因みに、ビンボーハッピーの「七つ道具」は以下の通り。
1.無料コンテンツ
2.ファストファッション
3.リアルのバーチャル化
4.シェア(共有)
5.価格比較・共同購入グルーポン
6.ソーシャルメディアミクシィツイッター
7.iphone(スマートフォン
時代は、たった5年で「web2.0」から「クラウド」に変わったのです。
筆者は、現在の注目すべきトレンドとして「リアルタイムウェブ」、「大量データ分析」、「メカニカルターク」、「ソーシャルメディア」などをあげています。「フりー(無料)を基本とした新しい経済環境・制度」の土壌が整備され、いよいよ人類の新しい生産様式が見えて来たのだとも言えそうです。
大企業はメディア戦略を根本的に変えつつあります。また、従来はメディア戦略に本格的な取り組みをしていなかった(出来なかった)企業も、これからは少ないコストで色々なメディア戦略を仕掛けることでしょう。しかし、本当はメディア戦略よりも前に、新しい経営環境に則した事業の点検、見直しが急務なのです。従来のビジネスモデル、利益モデルがいつまで持つのかを考えなければいけない。もっともこれは、古い概念に染まっている人には難しいことかもしれませんが。