白井京月の読書ノート

2009年から2014年の読書メモ

ラーニング・ザ・タロット

ラーニング・ザ・タロット―タロット・マスターになるための18のレッスン

ラーニング・ザ・タロット―タロット・マスターになるための18のレッスン

私はタロットを占いの一種とは考えていない。タロットは洗練された象徴の体系だ。それは、文化であり、言語であり、ツールである。私は最近、習慣として毎日タロットのリーディングをしているが、それは瞑想と似ている。そして、その際に参考としているのがジョアン・バニングの「リーディング・ザ・タロット」だ。これは、入門書ではあるが、400ページ近い大著であり、実に充実した本だ。今回は、この中から「適切な質問とは何か」について考えてみたい。
ジョアンは言う。「タロットはわたしたちに代わって、イエス・ノーを選択してくれるものではありません。何でも答をカードに任せて、自分自身で選択することを放棄すべきではありません。」(p.51)安易に答を押しつける、いわゆる占いとは全く異質な考え方である。答を与えて安心させるのではなく、ヒントを与えて考えてもらう事が大事なのだ。
具体的には、「YES/NOで答えさせる質問」、「〜すべきか否かという質問」、「いつそれをするべきかという質問」を悪い質問の代表例として示している。では、どういう質問が良い質問なのか。
 1.二者択一ではない選択肢を残してある質問
 2.ちょうど良い詳しさの程度の質問
 3.自分自身に重点を置いた質問
 4.中立の立場に立った質問
 5.ポジティブに表現された質問

<例C>
 1.なぜ、いつもわたしは、トーナメントの最終戦でだめになるのでしょうか?
 2.トーナメントで勝利をつかむ方法を見つける手助けをしてくれますか?

言うまでもなく、1.はネガティブであり、2.がポジティブだ。
これはタロットに限った話ではない。上司が部下に、
 1.「どうして営業成績が上がらないんだ?」
と問うのと。
 2.「どうしたら営業成績が上がるだろうか?」
と問うのでは雲泥の差がある。という以上に、「どうして営業成績が上がらないんだ?」という問いかけはネガティブで不適切なものと言えるだろう。
こうした質問設定のノウハウは極めて重要である。もちろん、それは質問だけに限ったことではない。実際に質問する前に、あるいは発言する前に、その質問、発言は適切か、よりよい形は無いだろうかと考える習慣をつけたいところである。