白井京月の読書ノート

2009年から2014年の読書メモ

コンサルティング能力

今は新装版が出ているようだが、私は旧版しか持っていない。1998年という大変昔の本だが、実に良くまとまっており、読みやすい好著だ。図解も良く、筆者渾身の一冊ではなかろうか。章建ては、以下の通りだ。

 1.序章 なぜ「コンサルテティング能力」が必要なのか
 2.第1章 問題を発見する
 3.第2章 解決策を立案する
 4.第3章 プレゼンテーションを設計する
 5.第4章 変革を推進する
 6.第5章 自己価値を創造する

本書は、実際にコンサルタンティングを行うにあたっての技法や考え方が分かりやすく示されている。もっとも、これは筆者のオリジナルであり、いろいろな方法があって良い。ただ、この本を読んだだけで、筆者の才能と努力は手にとるようにわかる。また、この本はよく企業内教育等でも用いられてもいる。
さて、私が本書をとりあげたのは、この本の中で書かれている「キャリア・アンカー」という概念を紹介したかったからだ。【carrer-anchor】とは、アメリカの心理学者E.Hシャインが提唱する「人がキャリアを形成する際の根源になるもの」を表した概念だ。
 1.自分に何が出来るのか
 2.変わることのない自分の基本的な志向は何か
 3.自分にとって一番価値のあることは何か

まず、みなさんにはこれを考えていただきたい。因みに、私の場合は、創造、革新、概念だ。
さらに、シャインはこれらをもとに、主なキャリア・アンカーを以下の8つに分類した。「管理能力」「技術的・機能的能力」「安全性」「創造性」「自律と独立」「奉仕・社会献身」「純粋な挑戦」「ワーク・ライフバランス」。
そして、このキャリア・アンカーは生涯変わる事がないという性質を持つと言う。
さて、キャリア・デザインは、ビジネスについてだけの話ではない。人生全般、人生設計にも用いられる。
さらに、人生設計においては、バリュー、ミッション、ヴィジョンの三つを明確にするべきだろう。事業計画の立案や、プロジェクト・マネージメントの考え方、技法を活用するのが良い。
人間は意味や価値を求める動物だ。流されるよりも、明確な目標に向かって努力する方が、ある意味で楽だ。もちろん、人生設計は随時見直して構わないし、見直さなければいけない時もある。
本書は、コンサルタンドを目指す人の入門書というよりも、キャリア・アップを考えるすべてのビジネス・パーソンに読んでもらいたい本である。