マーケティング・アンビション思考
- 作者: 竹内弘高,恩蔵直人,片平秀貴,石井淳蔵,嶋口充輝,上原征彦
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/11/10
- メディア: 新書
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本書は、マーケッターなら基礎知識、ビジネス・パーソンにはお勧め、経営者は必読と言った類の本である。MI21プロジェクト・チーム(15名)より、6人の筆者が各1章を担当しているという構成だ。どの章も読み応えがあるが、特に刺激的だった2箇所を引用する。
まずは、第6章「創造的瞬間がアンビションを確信に変える 石居淳蔵教授。
いきなり、「跳ばない経営者は管理者に過ぎない」という小見出しだ。どういう意味か。
以前、松下電工の故三好俊夫会長と対談する機会があったのだが、そのとき三好氏は、しきりに「経営者は『強み伝いの経営』を避けなければならない。経営者は跳ばなければならないのだ」と言われていた。そのところを再現すると、
「時代は流れているのだから、流れを見てやって行くと誰もが言うわけです。しかし、そこには谷間があって、そこはもう一つ跳ばないといけない。跳ぶのが企業の経営者なのです。跳ばない経営者は、経営者ではなく管理者なのです。現代の経営においていかに世の中に経営者でなく管理者が多いことか。(p.128)
ここで言う「強み伝い」とは、ドメインに沿った経営という意味であり、「跳ぶ」というのは、アンビション(大志)を発揮するということに他ならない。それは、困難なことかもしれないが、現在のような時代にこそ重要なことだと言えるだろう。
次に、第3章「マーケティングへの2つのチャレンジ」 恩蔵直人教授。
この中に、「インターネットは、企業のIQ、姿勢を映す鏡」とある。要は各社のウェブサイトで、7つのことが分かるのだと言うのだ。
1.ウェブサイトがない、または不完全な企業は、組織のIQが低い
2.更新頻度の低い企業も、元気がない、規律がないか、IQが低い
3.お客様窓口のページが奥の方にあるとか、電話番号の記載のない企業は顧客志向度が低い
4、5、6は省略しよう。
7.サイトで個別商品間の関係がすっきりしていないのは、ブランド体系への理解が低く、マーケティングIQが低い
何とも辛辣な書き方だが、現代の経営の根幹はマーケティングであり、その中でもウェブサイトはそのIQを見るのに最適だと言うことだろう。
他にも、顧客志向におけるパラダイムシフト等、重要な箇所はいろいろあるのだが、帯にある通り、本書は「現代マーケティングの教科書」なのであるから、読んでおいて損はないと思う。