族長の秋
- 作者: ガブリエルガルシア=マルケス,鼓直
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/04/20
- メディア: 文庫
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見事な描写力にうっとりしていると、1日に数ページしか読み進まない。それでも、能力のない私が読み終えることができたのは、この本を課題にした読書会があったからだ。
マルケスは独裁者を悪くは描いていない。むしろ独裁者というものに共通する性向が面白く描かれている。独裁者になるのは、どういう人間なのか。そして、独裁者になると何が変わるのか。
マルケスはコロンビアの作家だが、元はジャーナリストで、国外でも活躍していた。この作品はフィクションだが、なぜか文庫の最初に<「族長の秋」作品舞台>という地図がある。この時代の中米の空気を読めということだろう。
極端な言い方かもしれないが、何かの教訓めいたものが得られるといった類いの本ではない。そうではなく、読んで味わうことを楽しむ本だ。真の文学好きのための文学。真の文学好きが何を意味するのかは置いておくとして、そういうイメージの本なのである。